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当スクールの練習と宿題への考え方

当スクールでは、練習や宿題に取り組む際の「向き合い方」をとても大切にしています。重視しているのは「楽しく続けられること」「無理のない効率性」そして「成長を実感できること」です。

ただ長い時間楽器に向かうことが、必ずしも上達につながるとは限りません。
短い時間であっても、目的を持ち集中して取り組むことが、確かな成長につながると考えています。

「何ページまで譜読みをする」「同じフレーズを何回繰り返す」といった作業そのものを目的にするのではなく、曲への理解を深め「できた」「分かった」という達成感を得られる練習の進め方を指導しています。意識的で効果的な練習を習慣づけることで、無理なく継続できる環境を整えています。

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当スクールでは、教育アプローチの一環として、生徒さんの練習の様子を見せていただくことがあります。普段のレッスンでは見ることのできないご自宅での練習の姿勢や取り組み方を知ることで、より良い方向へと改善につなげられたら、という思いからです。

以前、7歳の生徒さんの練習を見学した際、45分間うつむいたまま、ため息をつきながら同じフレーズを繰り返している姿を目にしました。時折こちらの存在を思い出したように顔を上げ、またすぐにうつむいて同じところを弾き続ける。その光景は、今でも強く印象に残っています。

普段はとても明るく元気な子だっただけに、なおさら胸に残りました。そして同時に、「正しい練習の方法を教えることも、指導者としての大切な役割である」と強く感じるようになりました。

練習が苦しく感じられるのは、多くの場合、努力が成果につながっている実感を持てないときです。練習は、本来つらいものではありません。やり方が分かれば、努力は少しずつ「できる」に変わっていきます。

練習と宿題へのアプローチ

全体を通して、当スクールが目指しているのは「頑張らせる練習」ではなく、
「楽しみながら無理なく続けられる練習」、「上達を実感できる練習」です。
そのため、当スクールでは、次の3点を練習や宿題へのアプローチの軸としています。

譜読みはレッスンで、練習ではスムーズに弾けるように

当スクールでは、譜読みそのものを宿題として出すことはありません。
譜読みは、レッスンの中で講師と一緒に行います。

譜読みは、見た目以上に高度な作業です。音符を読むことに加え、どの指で弾くのか、どのように身体を使うのか、フレーズがどこで区切られ、どこへ向かっているのか、強弱や表現はどう付けるのかといった、多くの情報を同時に理解し、整理し、結びつけていく必要があります。

だからこそ、レッスンの中で一緒に譜読みを進めていきます。時間はかかるかもしれませんが、その過程を丁寧に積み重ねることで、「正しく理解する力」と「後から応用できる力」がしっかりと育っていきます。そのため、ご自宅での練習では、レッスンの中で培った内容を再確認し、習ったことをよりスムーズに弾けるようになることを目指して取り組んでいきます。

反復練習の考え方

反復練習は、正しい動きを身につけるために欠かせない大切な練習方法です。
ただし、「繰り返すこと」そのものが目的になってしまうと、本来の意味を失ってしまいます。何のために繰り返しているのかを意識しながら行うことが大切です。

反復練習は、レッスンで学んだ内容に基づいて行わなければ、誤った癖がそのまま身についてしまう原因にもなります。そして、一度身についてしまった癖を修正することは、簡単ではありません。
そのため当スクールでは、「何回繰り返したか」ではなく、「正しく弾けている状態で繰り返せているか」を重視しています。

もし正しく弾けていない場合は、その原因を考え、練習方法を工夫します。テンポを落としたり、フレーズを短く区切ったり、音のつながりや表現を確認したりしながら、常に頭を働かせて練習を行います。考えながら改善を重ねていく練習こそが、確かな上達につながります。

そして、正しく弾けるようになったら、今度はそれを定着させるために反復練習を行います。この段階でも、ただ回数を重ねるのではなく、目的を理解したうえで繰り返すことが重要です。たとえば、5回連続で間違いなく弾けるか。手や身体に無駄な力が入っていないか。フレーズをつなげても、同じように正しく弾けているか。そうした点を確認しながら練習を進めていきます。

一回の練習の長さ

「どれくらい練習したらいいですか?」これは、生徒の皆さんや保護者の方から、よくいただく質問のひとつです。
練習時間については、長く練習した方が良いという考え方もあれば、短くても集中して取り組める時間の方が大切だという考え方もあります。また、練習に使える時間は、それぞれの生活環境によって異なります。当スクールでは、練習時間の長さそのものよりも、「目的を持って集中して取り組めているか」を重視しています。

こんな話があります。
ある旅行者が、道端に座っていた老人に「目的地までどれくらいかかりますか」と尋ねました。老人はすぐには答えず、杖で道の先を指し示しました。旅行者は「さっさと行けと言われた」と思い、腹を立てて立ち去ろうとしました。すると老人は、その旅行者にこう伝えました。「その歩く速さなら、2時間ほどで着くだろう。」

どれくらい時間がかかるかは、進む速さや歩き方によって変わります。練習も同じです。まずは、何ができるようになりたいのか、どれくらいで弾けるようになりたいのかを考えるところから始めます。その目標に対して、どれくらいの時間が必要なのか、どの程度の練習量が現実的なのかを見極めていきます。
もし習得したい内容が難しい、あるいは長さを持つ場合は、それを細かく区切り、一つずつ取り組みます。そして、一つの区切りをやり切ったら、その時点で練習を終えて構いません。

集中して意識的に行える練習時間は、短ければ短いほど良いと考えています。できるところまでやったら終わり、集中力が切れたら終わりで問題ありません。だらだらと続けても、練習の効果は高まりません。目標を決め、そのために必要な所要時間を把握し、長い場合は分割して取り組む。決めたことをやり切り、疲れて集中力が切れたらやめる。それで十分です。

生徒の皆さんが、少しずつでも「できることが増えていく」喜びを感じながら、前向きに練習に取り組めること。それが、当スクールが最も大切にしていることです。

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